口に入れると、フワッと溶けてしまう軽い食感と、ほのかな甘みが楽しめる米菓(餅菓子)。
丸い粒は七色あり、かわいらしく、華やかな彩りです。
香川県の西部地域(*)では、古くから婚儀に欠かせない菓子として多くの人に配られてきました。
現在では、婚儀以外にも広くお祝い菓子として用いられる他、お土産としてかわいらしいパッケージで売られていたり、丸い粒のような愛らしい形を生かし、ケーキやソフトクリーム等デザートのデコレーションとしても重宝されています。
(*)香川県(讃岐(さぬき))の西部地域を「西讃(せいさん)」と呼びます。おいりの習わしは、香川県(讃岐(さぬき))の三豊市、観音寺市、善通寺市、丸亀市、坂出市など、西讃のほとんどの地域に見られます。
風習の由来は、1587年頃(安土桃山時代)にさかのぼります。讃岐国領主、生駒親正(ちかまさ)公の姫君のお輿(こし)入れが決まった際、領内の農家の人がお祝いに五色のお煎(い)りもの(あられ)を献上したことに由来する、という説があります。
以来、おめでたい「お煎(い)りもの」と「お嫁入り」をかけて『おいり』と呼ばれるようになり、西讃では、今も婚儀の際には欠かせないご祝儀ものとなったそうです。
『おいり』は、現在、結婚のほか、出産や初節句、新築祝い等、お祝い菓子として幅広く用いられています。
各種メディアで注目された1990年頃からは、県外にも広く知られるようになり、「きれいで珍しい」などと珍重されて、県外の花嫁のほか、企業や老舗料亭等からの引き合いも年々増えています。